浮気

嘘つき夫への最強の復讐!!【8話】

 

そう思うと、また怒りが

込み上げてくる。

でも、まだ我慢。

 

「ただいま…」

 

静かな家に、

自分の声だけが響く。

 

これまでなら寂しく

感じたかもしれない。

 

でも今は、この静けさが

私に力をくれる。

冷蔵庫を開け、

夕食の準備を始める。

 

様々な感情が

胸の中でぐるぐると渦を巻く。

でも、表情は平静を保つ。

 

鏡に映る自分の顔を確認する。

演技は完璧。

 

誰にも、私の本当の気持ち

なんてわからないはず。

 

その夜、ジュンヤが

帰ってきたのは

夜中の2時過ぎだった。

 

ドアの開く音で

目が覚めた私は、しばらく

ベッドで息を潜めていた。

やがて、リビングに向かう

足音が聞こえてきた。

 

ジュンヤ

「た、ただいま…

まだ起きてたの?」

 

私は起き上がり、眠たそうな

顔を装って寝室を出た。

 

「ん…ただいま?

あ、おかえりなさい。

今、トイレに

行こうと思って…」

 

ジュンヤ

「ごめん、

仕事が長引いちゃって…」

 

「大丈夫だよ。お疲れ様。

お風呂、沸かしておいたけど、

もう…冷めちゃってるね。

温め直そうか?」

 

ジュンヤ

「ありがとう。

キヌコは優しいな。

でも大丈夫、このまま入るよ」

 

「そう…じゃあ、

おやすみなさい」

 

ジュンヤ

「ああ、おやすみ」

 

寝室に戻り、

ベッドに横たわる。

 

…嘘つき。

仕事なんかじゃないくせに。

あの女といたんでしょ?

 

電気を消した闇の中で

目を開けたまま、

ジュンヤが風呂場に

向かう音を聞いていた。