家に帰ると、ジュンヤが
珍しく先に帰っていた。
ジュンヤ
「おかえり、キヌ子。
今日は早く帰ってこれたんだ。
たまには二人で
ゆっくりできるかなって」
私
「えっ!嬉しい! じゃあ、
今日は特別に手の込んだ料理を
作っちゃおうかな♪」
ジュンヤ
「楽しみにしてるよ」
料理を作りながら、ふと鏡に
映った自分の顔を見て驚いた。
笑顔を作っているはずなのに、
どこか虚ろな目をしている。
この仮面生活、
いつまで続けられるのかな…
でも、弱音を
吐いている場合じゃない。
ここで諦めたら、
ジュンヤと不倫相手の思う壺。
絶対に負けない、
私は必ず幸せを
つかみ取ってみせる。
次の日、友人のサアヤに
会いに行った。
サアヤは私の唯一の理解者で、
この復讐計画の相談に
乗ってくれている。
サアヤ
「キヌ子、大丈夫?
なんだか
疲れてるように見えるけど…」
私
「うん、まあね…
でも、弱音吐いてる
場合じゃないの。
探偵にも依頼済みだし、
決定的な証拠が
手に入るはずだから」
サアヤ
「そっか…。でも、
無理しすぎないでね。
キヌ子が倒れちゃったら、
元も子もないんだから」
私
「ありがとう。
あなたがいてくれて
本当に心強いよ!」
サアヤとの会話で、
少し心が軽くなった。
そうだ、私は一人じゃない。
応援してくれる人がいる。
だからこそ、最後まで
諦めずに頑張れる。
家に帰る途中、ふと
あるショップに目が留まった。
そこには、今までの私では
絶対に手を出さないような、
大人の女性向けの服が
並んでいた。
「…これも作戦のうちよね」
そう呟きながら、店に入った。
今の私には
似合わないかもしれない。
でも、これから
変わっていく私には、
きっと似合うはず。
新しい服を手に取りながら、
少しずつ自信が
湧いてくるのを感じた。
家に帰ると、ジュンヤは
まだ帰っていなかった。
きっとあの女と…。