あれから数ヶ月が経った。
私の二重生活は続いている。
表の顔は、相変わらず
明るくて素直な、
ちょっと天然な妻。
でも、裏では着々と
復讐の準備を進めている。
まずは経済的な
自立から始めた。
ジュンヤが会社に
行っている間にできる
パートタイムの仕事を
見つけて、こっそりと
貯金を始めた。
短時間勤務だから、
ジュンヤが帰ってくる前に
家事も済ませられる。
私
「ねえジュンヤ、
時短のパートを
始めようと思うんだけど」
ジュンヤ
「いいんじゃない?
どんな仕事?」
私
「近所のカフェ。
時短だから
今までと変わらないよ」
ジュンヤ
「そうか。
君が楽しめるなら賛成だよ」
私
「ありがとう。でも給料は
私の小遣いにするからね(笑)」
ジュンヤ
「はは、いいよ。
君の稼ぎだもんね」
毎日少しずつだけど、
着実に貯金が増えていく。
この感覚が、私に力を
くれるんだ。
いつでも逃げ出せる。
いつでも新しい人生を
始められる。
その思いが、
私を強くしていく。
仕事の合間を縫って、
探偵事務所にも足を運んだ。
ジュンヤの行動を監視し、
決定的な証拠を集めるために。
探偵
「では、ご主人の
行動を詳しく
調査させていただきます。」
私
「はい、お願いします。
費用は頑張って
工面しますので、
確実な証拠をお願いします」
探偵
「承知しました。
ご心配なく、私どもが
しっかりと
サポートさせていただきます」
探偵との打ち合わせを終えて、
家に帰る道すがら、
複雑な気持ちになった。
こんなことを
しなければならない現実が、
悲しくて仕方がない。
でも、もう後戻りはできない。
この道を進むしかないんだ。