私の名前はキヌ子、25歳。主婦。
両親は私が高校生の時に
事故で亡くなって、それ以来
親戚の家を転々としながら
何とか大学まで出た。
就職してすぐに結婚。
相手は
会社の先輩のジュンヤ、28歳。
正直に言うと、最初は
少し複雑な気持ちもあった。
ジュンヤは仕事ができて、
将来有望な
エリートサラリーマン。
私みたいな
平凡な女の子が憧れる、まさに
「ハイスペ彼氏」だった。
経済的に不安定だった
私にとって、ジュンヤとの
結婚は安心できる未来への
一歩だったのかもしれない。
私
「今日の夕飯何がいい?」
ジュンヤ
「うーん、キヌ子の
得意な肉じゃがとか?
君の料理はいつも美味しいから
なんでも嬉しいよ」
こんな会話を交わしながら、
私の中では幸せな気持ちが
溢れていた。
ジュンヤの優しさに、
日々感謝の気持ちが
大きくなっていくのを
感じていたんだ。
結婚して良かった、
そう心から思った。
でも、そんな日々は長くは
続かなかった。
結婚して半年が過ぎたころ、
ジュンヤの様子が
少しずつ変わってきたんだ。
残業が増えたり、休日出勤が
増えたり…
最初は仕事が忙しく
なったんだと思っていたけど、
何かがおかしいと
感じ始めていた。
ある日、友達のサアヤと
久しぶりに会う機会があった…
サアヤ
「最近どう?
結婚生活順調?」
私
「うーん…なんか、
ジュンヤの最近
すごく忙しそうで…残業も
増えてるみたいだし、
休日出勤も多くて。
なんだか顔を合わせる時間が
減ってきちゃって…」
サアヤ
「大変そうだね。
ちゃんと二人の時間はある?」
私
「それが…最近はあまり…」
サアヤ
「そうなんだ。でも、
コミュニケーションは
大切だから、時間を作って
話し合ってみたらどうかな?」
サアヤとの会話の後、
ジュンヤと話をする機会を
作ろうと努力した。
どんどん、ジュンヤの帰りが
遅くなる日が増えていった。