でも…。
配偶者に裏切られた傷っていうのは
簡単には癒えないんだ。
何かあると、フラッシュバックを
起こして、事あるごとに
私を苦しめた。
もちろん、幼いカズヤとタツヤに
そんな病んだ母親の様子を
見せるわけにはいかない。
だから…
私は双子がいない隙や
寝静まった頃を見計らって、
壁やクッションに
八つ当たりをしたり、
涙がとめどなく流れるままにしたり
という形で発散していた。
たまに泣いたり吠えたりしている
私を、両親が冗談交じりに
両親
「どうどう(笑)落ち着いて」
って馬を宥めるみたいに
押さえようとすることにも、
腹が立ったりしたね。
両親からしたら、
本気で心配したり
大げさにする方が、深刻な事態に
なりそうだっていう配慮?
だったみたいなのだけど
私からしたら溢れ出す怒りや
悲しみを小馬鹿に
されているように感じたのも事実。
それをどこかで見ていたのか、
私が悪戯をした双子を
叱っているときに、
お調子者の双子の弟の方、
カズヤが真似してきたりしてね。
私の心配事は、双子がマサアキ
に似てしまうことだった。
不誠実でいい加減な
性格になったらどうしよう…って、
肩肘を張っていたのは否定しない。
まあ、2人とも良くも悪くも素直で
まっすぐには育ったなとは思う。