浮気

10年間私達を騙し続けた夫を無視し続けた結果 【15話】

 

「…すまなかった。

…申し訳ない」

 

 

と、何度も謝り

再構築を迫る夫にうんざりした。

 

 

「無理!

あなたの謝罪は何の意味も価値もない。

あなたは私たちにとって

その辺の石ころと同じ程度か

それ以下の価値しかない。

人ですらない石ころの言葉など、

私たちには届かないのよ。

…離婚して!」

 

 

とバッサリ切った。

 

 

「石ころ…」

 

 

と絶句した夫は、

娘にすがるような視線を送った。

だが娘の顔は

私でも見たことのないような

能面のようになっていた。

感情を読み取れない

表情が却って娘の憤怒を

物語っているようだった。

 

 

まこ

「もう2度と

顔も見たくない!」

 

 

この一言が決定打になった。

リビングの隅にうずくまって

グチグチと未練やら後悔を

呟いていたようだが…

私たちは身支度を整え

気分転換に外出をした。

数時間後に帰宅すると、

夫の姿は消えていた。

私たちはほんの少しだけ

心がざわついたものの、

翌日からはこれまで同様、

母娘2人の気楽な

女だけの暮らしを楽しんだ。