私と娘は一瞬固まったが、
それまで通り
楽しい夕飯を続けた。
もしかしたら以心伝心
だったのかもしれない。
娘
「でね、お母さん、
その時先生が言った冗談が
とっても面白かったの」
私
「え?どんな、どんな?
早く教えて~」
夫のことを眼中に入れず、
他愛無い会話が続く。
夫はダイニングまでやってくると…
夫
「おい、帰って来たぞ。
【おかえり】くらい言えないのか」
と、少し不機嫌そうな声を上げた。
それでも私たちは
娘の学校や友達の話を続けた。
そう、まるで夫など
その場にいないかのように
振舞ったのだ。
業を煮やした夫は
夫
「一家の大黒柱が
仕事を終えて
帰って来たんだぞ!
なんなんだその態度は!!」
…と叫んで、
テーブルの上の夕食を
腕で払い落した。
料理が散乱し、お皿や茶碗が
いくつか割れてしまった。
娘がとっさに椅子から降りて
拾おうとしたため、
私
「ダメよ!まこちゃん。
椅子に座っていて。
怪我でもしたら大変。
お母さんが片づけるから、
じっとしているのよ」