浮気

10年間私達を騙し続けた夫を無視し続けた結果 【8話】

 

私と娘は一瞬固まったが、

それまで通り

楽しい夕飯を続けた。

もしかしたら以心伝心

だったのかもしれない。

 

 

「でね、お母さん、

その時先生が言った冗談が

とっても面白かったの」

 

 

「え?どんな、どんな?

早く教えて~」

 

 

夫のことを眼中に入れず、

他愛無い会話が続く。

夫はダイニングまでやってくると…

 

 

「おい、帰って来たぞ。

【おかえり】くらい言えないのか」

 

 

と、少し不機嫌そうな声を上げた。

それでも私たちは

娘の学校や友達の話を続けた。

そう、まるで夫など

その場にいないかのように

振舞ったのだ。

業を煮やした夫は

 

 

「一家の大黒柱が

仕事を終えて

帰って来たんだぞ!

なんなんだその態度は!!」

 

 

…と叫んで、

テーブルの上の夕食を

腕で払い落した。

料理が散乱し、お皿や茶碗が

いくつか割れてしまった。

娘がとっさに椅子から降りて

拾おうとしたため、

 

 

「ダメよ!まこちゃん。

椅子に座っていて。

怪我でもしたら大変。

お母さんが片づけるから、

じっとしているのよ」