浮気

10年間私達を騙し続けた夫を無視し続けた結果 【2話】

 

娘はなぜ泣いていたのか、

時々涙をにじませながら

話してくれた。

子どもが話すことなので

多少要領を得ない部分もあったが、

まとめるとこのようになる。

実は私たちの結婚記念日が近いので、

今年は娘からも贈り物をしようと、

私には遊びに行くとウソをついて

郊外のショッピングセンターに

バスで行ったとのこと。

一人で行くのは

もちろん初めてなので、

ウロウロしていると

見慣れた人影をみつけて

走り寄ろうとした。

 

 

「お父さん!」

 

 

と喉元まで出かかった言葉を、

娘は飲み込んだ。

夫は1人ではなかったのだ。

女性と一緒だったと。

仕事で一緒なのかとも思ったが、

女性が夫の肩にしなだれかかったり、

お互いの指を絡めるように

手を繋いでいたり…

幼い娘から見ても

親密な間柄に見えたそうだ。

ショックを受けた娘は

私たちへの贈り物を選ぶことなく、

帰宅したというわけだ。

 

 

「ごめんなさい。

ウソをついて、普段は行かない

場所に行ってごめんなさい。

お母さんは

聞きたくないだろうなって

思ったけど、

でも黙っていられなくて、

ごめんなさい…」

 

 

また、しゃくりをあげて

泣き出してしまった。

なんということだろう。

夫の浮気。

それはショックだ。

間違いない。