私
「大丈夫?
製薬会社じゃないでしょ?
いきなり未経験の業種で
役員なんて、
危ない話にしか
思えないけどな」
私が指摘すると、
シンジは心当たりが
あるのか、
黙ってしまった。
ぶつぶつ独り言のように、
何か言っている。
シンジ
「そういえば、
株式を大量に買わされ…」
私
「倒産したら、一瞬で
紙切れだよ?
よく決断したね。
まあ、私には
もう関係ないけど。
どうか、お幸せに」
シンジ
「え!?
ちょっと待って!
俺、美人に声かけられて、
つい舞い上がって、
現実が見えてなかった!
頭冷やすから、
俺ともう一回やり直して!」
私
「なんで?嫌よ!!
それに婚姻届け
書いたんでしょ?
もう覚悟決めなさいよ!
結婚式前から
私を裏切って、
口だけ調子よく
いい人を演出していた
あなたの事を
どう信じればいいの。
新しい奥さんと幸せにね」
私はさくっと電話を切り、
速攻でブロックした。
シンジが転職したという
企業は倒産。
株は全滅したみたい。
噂では、前職で
稼いだ貯金を
全部奪い取られ、
離婚もできず…
サエ実家のために
バイトなどを掛け持ちして
働かされているという。