ナミ
「ご主人だよね?
昨日、キヌ子は
休んでいたでしょ?
部署の何人かで飲みに
行ったんだわ。
そしたら…見ちゃった。
ご主人の方は、
私に気づいてなかった。
結婚式でちらっと
顔見た程度だからねえ、
分からないのも
無理は無いか…」
私
「あいつ…!!
浮気してたの!?」
ナミ
「これだけじゃ
証拠としては弱いかな。
でも、どう見てもそうとしか
思えないよね。
それでね…?」
同僚の話は延々と続き、
私は思わずスマホの
レコーダーアプリを
起動させた。
世間は狭いと思わされる
内容だったのだ。
もう、シンジとは終わりだ。
完全に。
私はそう確信して、
覚悟も決めた。
ナミと別れた後、
すぐにシンジへラインした。
昨日の段階で、
既読マークはついている。
返事は無いけど。
離婚についてという
短い一言なら、
何か反応はあると思った。
案の定というか、
ラインではなく
電話がかかってきた。
シンジ
「離婚したいって?」
明らかにウキウキした声だ。
離婚についてとは
書いたけど、
したいとは書いていない。
シンジにすれば、
離婚の申し出と
同じ意味なのだろう。