私
「傷つけちゃった?
だったら謝るよ」
シンジ
「うるさい!
もうお前の顔なんか
見たくない!!」
感情的になった挙句、
ヒートアップして、
シンジは家を飛び出して
行ってしまった。
手ぶらで、スマホしか
持たない状態で、
どこへ行くのだろう。
実家だろうか。
彼のご両親に連絡をするか
悩んだ末、私は様子を
見る事にした。
いま慌てて大事にしたら、
彼が戻って来づらくなる気が
したからだった。
ところが夫は、どこで
何をしているのか、
足取りがつかめなくなった。
帰宅どころか、
電話もメールもSNSも、
まったく繋がらない
一週間が過ぎた。
その結果、義実家にも
いない事が分かった。
さすがに血の気が引いて、
申し訳ないと思いつつ、
彼の勤める会社へも
確認の電話を入れた。
仕事中を邪魔すれば
きっと怒られる、
またこじれると思って
遠慮していたけど、
もうそんな事を言って
いられる場合じゃない。
私
「主人をお願いします。
急ぎの連絡がありまして」
代表番号にかけ、
受付の女性に名乗って
シンジの部署に繋ぐよう
依頼したところ、
とんでもない事を言われた。
受付女性
「すでに弊社を
退社しておられますが…」