私
「いよいよ結婚式ね。
新婚旅行も、
忙しいのに10日間も時間を
取ってくれて、ありがとう」
シンジ
「その分、あとで
バリバリ働かされるけどね。
まあ、こういう時は、
うちの会社は話が分かる。
外資系のいいところだ」
私
「良かった。
二人でヨーロッパかぁ。
嬉しい! 楽しみ過ぎて、
今から眠れないわ(笑)」
シンジ
「3日も寝ないで
過ごすつもり?
体力持たないぞ。
結婚式の最中に
居眠りされたら困るよ」
冗談を言い合って、
笑い合いながら、
カレンダーに毎日バツ印を
つけたものだった。
念願の結婚式は、豪華でも
質素でもない、ごく一般的な
プランにした。
その分を旅行に回したいと
いう意向が、
ここでも一致していた。
私達は気が合うんだと、
密かに感激した。
式が終わって新婚旅行へ。
そして二人で吟味した
新居への入居。
順調すぎて、
怖いくらいだった。
これから始まる新生活に、
期待が否応なく膨らんだ。
でも…
三ヶ月で、その期待は
跡形も無く消し飛んで
しまった。
夫となったシンジが、
全然帰って来ないのだ。
シンジ
「当分は帰れないよ」
私
「え?」
シンジ
「結婚式のときに
休暇を取り過ぎたからね。
巻き返さなきゃいけない」
私
「そう言ってたものね」
シンジ
「いきなり家事の
約束を守れなくて
申し訳ない。 とりあえず、
洗濯だけはしっかり頼む。
着替えを取りに戻る事が
多くなるからね。
食事はいい、たぶん家で
食べてる暇が無い」