もう潮時かな。
一向に既読マークが
つかない夫のラインを
見ながら、私は、
結婚生活に終わりが
近付いているようだと、
つらつら考えていた。
結婚して今年で2年目。
新婚時代が信じられない。
こんなに冷めきってしまう
というか、一方的に
冷められてしまうなんて、
当時は思ってもいなかった。
やっぱり、仕事を
捨てられなかったのが、
関係破綻の
大きな原因なんだろうか。
私はキヌ子。
27歳で、事実上の
結婚生活崩壊に悩む
既婚女性だ。
専業主婦ではない。
夫のシンジは30歳の
製薬会社勤務。
MRと呼ばれる、
営業マンをやっている。
激務だと聞いていた。
交際していた時も、
彼は多忙で、
一日中会える日は
とても限られていた。
シンジ
「MRは医者の
使いっぱしりだよ、パシリ」
苦笑いしていた
彼を思い出す。
私も、業種的に近いものは
あるから、そういう実態は
ある程度は知っていた。
大学の同期を経由して
開かれた飲み会に、
忙しい中を縫って
やって来た彼と意気投合し、
最初は順調そのものだった。
シンジ
「キヌ子は
仕事好きなんだ?」
私
「うん、
天職だと思ってるよ」