モラハラ

料理を作るとき、市販禁止と言うので言うとおりにした結果【9】

 

「市販品はダメだって

捨てたのはあなたでしょ?

前に捨てたお好み焼きに

入っていた紅しょうがも、

かけていたソースも、無添加の

オーガニック

食品だったんだけど!」

 

「それは、その、少しなら…」

 

と形勢が悪いのを感じたのか、

歯切れの悪い口調で

抵抗をしようと試みていた。

私はすかさず、

 

「健康にかける

あなたの情熱は素晴らしいわ!

私、妻として全力であなたを

応援するって決めたの!」

 

そうやってキラキラした目で

見つめてやったら、

夫は何も言えなくなっていた。

「さしすせそ」なしの料理は

さらに1カ月半ほど続いた。

 

その間、塩味のしないラーメンや

野菜出汁の味しかしない

ポトフなどを提供し続けた。

もちろん、私のものには

しっかりと調味をしている(笑)

キッチンに立つ者の特権じゃ(笑)

 

煮出した塩はどうしたって?

海水1Lから10g採れるか

採れないかくらいだから、

すぐになくなるよ。

 

んなに頻繁に

海に行くわけじゃないし。

 

そして、その間、私は以前から

感じていた夫の違和感に

ついても調査を進めていた。

粗方事情を把握した頃に、

ついに夫は音を上げた。

 

「我儘を言うようで

申し訳ないんだが、

明日はカレーが食べたいんだ」

 

「カレー?ああ、カレーってさ

スパイスの種類って

インドだと家庭ごとに

違うらしいよ?」