モモカ
「どうしたらいいのか、
誰にも言えなかったの!
先生にも学級だよりをママたちに
見せちゃダメって言われて…!」
モモカは自主的に
隠したわけではなかったのだ。
なんと担任から
口止めをされていた。
基本的にモモカは大人の言いつけを
守る、素直で真面目な子だ。
そこを逆手に取るだなんて、
私は許せなかった。
私は、娘の制止を
振り切って学校に電話をした。
電話に出たのは
ハタナカ先生だった。
ハタナカ
「あ、モモカさんの
お母さん!お久しぶりです。
最近、モモカさんが
授業中も元気がないので、
少し気になっていたんですよ」
私は学級だよりの件で
まだ気持ちが高ぶっていたが、
ハタナカ先生の優しい声で
少し落ち着きを取り戻した。
私
「あの、コンドウ先生は
お手すきですか?」
ハタナカ
「はい、大丈夫そうですよ。
少々お待ちください」
少し保留音が流れた後、
コンドウ先生が出た。
コンドウ
「もしもし、
お電話代わりましたー!」
いかにも体育教師らしい、
はきはきとした明るい声だった。
私は声が震えないように
注意しながら切り出した。
私
「…あの!
学級だよりの件ですが」
コンドウ
「え?学級だよりですか?
…モモカさんが話したんですか?」
後半、急にトーンが落ちた。
その落差に私の背筋が寒くなる。