私
「女としての魅力がない?
じゃあ、魅力を出すための
時間を捻出するために
アンタは何かした?
家事育児、全部丸投げだったよね!
私と息子が高熱を出しても
浮気相手との旅行を優先するし!
熱が出てる私に【消毒】とか言って、
お酒を頭から浴びせかけるし!」
夫
「いちいちガタガタうるせぇんだよ!
嫁のクセに本当に生意気で腹が立つ!」
私も夫も言いたい放題だった。
実はこれが狙いだったりもする。
私
「そう。あなたも私も
言いたいことをある程度、
言えたようね」
私は頃合いを見て、
わざと芝居がかった様子で
ジャケットの内ポケットに手を入れた。
この動作が何を意味するのか、
夫は気づいたようだった。
夫
「な、なあ。もしかして、今の会話…」
私
「そうよ。録音させてもらったわ。
あなたの本心と本性を
確認するためにね」
夫は悔しそうに唇を噛んで
私を睨みつけてきた。
しばし沈黙が下りる応接室。
そこへ上司が厳しい顔をして入って来た。
上司
「君、社長が呼んでいる。
話があるそうだ」
夫
「はい…」
恨めしそうにこちらを睨みながら、
夫は上司に連行されていった。