モラハラ

高熱の私に酒をぶっかけてきた 【9話】

 

上司

君、僕から見ても

キヌ子さんの主張が
 
正しいように思えるのだが。
 
君はどう思うかね?」

 

「すみません…。つい出来心で…」

 

これだけの証拠があったせいか、

夫はもう言い逃れはできなかった。

 

上司はさらに上役へと

事の顛末を報告しに、

応接室を出ていった。

 

上司の姿が見えなくなると、

夫は途端に変貌した。

 

「おい!俺の会社での立場を悪くして
 
そんなに楽しいかよ!」

 

「誰のせいだと思ってるの?
 
嘘ばっかりついてさ。
 
義両親にも嘘をついていた

みたいじゃない。

 

うちに怒鳴り込んできて
 
大変だったんだから!」

 

「嘘じゃねぇーし!
 
親が勝手に勘違いして暴走しただけだ!

俺は…」

 

「あー、はいはい。
 
そうやってまた、【俺は悪くない】
 
って言うつもりなんだ。

 

義両親の性格は
 
あなたが一番よく知っていて、
 
どう仕向ければ私に

怒りが向けられるか、
 
全部わかっててやったくせに」

 

「それより!俺の会社での
 
立場が悪くなったら、お前も
 
ただじゃ済まないんだぞ!?
 
わかってるのか?」

 

「んー?
 
別にどうってことないでしょ?
 
【浮気されて離婚したんだって】
 
ぐらいは噂になるだろうけど、
 
基本、私は被害者だし」