夫
「まだ飯食ってるわけ?
本当、とろいよな」
私
「私は熱が高いし、
息子だってまだ本調子じゃないのよ」
夫
「ふ~ん。俺、明日から
数日、出張だから。
風邪移すなよ」
妻子がフラフラなのに…
と思いつつも、仕事ならしかたない。
そう思っていたら、突然頭と背中に
冷たいものが走った。
驚いて顔を上げると、夫が
グラスを私に傾けていた。
夫
「風邪のウイルスは
アルコールで消毒しないとな」
そう言って、夫はいつも晩酌で飲む
手作りの梅酒のボトルごと
私にかけてきた。
余りのことに呆然とする私を尻目に
夫
「治るまで俺に近づくなよ」
と、寝室へ行ってしまった。
幸い、息子にお酒はかからなかったが、
こんなに屈辱的な行動を取られたのは
結婚以来、いや生まれてこの方
初めてのことだった。
急速に色々なものが冷めていった。
翌日、夫は私と息子を気遣うことなく
出張という名の旅行に出かけていった。
私は夫の旅行中に体調が戻り、
息子を連れて実家に避難。
事情を聞いた両親も烈火のごとく怒り、
私と息子を匿ってくれることになった。
実家に腰を落ち着けて数日、
夫
「おい!どこにいるんだ!
ふざけてるのか!?」
と夫から電話が。怒鳴り声に
身がすくむ思いがしたが、
こんなことでは夫と戦えない。