カナメ
「お、お前に
用はねぇんだよ!
俺のプラモと模型を
取りに来ただけだ。
つーか、お前、そのワン公を
またけしかけるつもり
じゃないだろうな!?」
開き直るような言葉とは
裏腹に、カナメの声は
震えている。
彼の目は常にコテツを
追っており、少しでも
コテツが動くと、
ビクッと体を震わせた。
カナメの中途半端な態度に
コテツもイラついたのか、
再び唸り声を上げ始めた。
その瞬間、カナメはじりっと
1歩下がった。
先日、噛みつかれたことが
トラウマになっているのは
明らかだ。
彼の左腕には包帯が
巻かれているのが見える。
コテツに噛まれた跡だろう…
カナメの顔は蒼白で、
額には冷や汗が浮かんでいる。
私は同棲までした
彼氏だからと温情を…
かけるつもりは全くなかった。
キクノ
「警察を呼びます」
私はそう告げると、
スマートフォンを取り出した。
カナメ
「ま、待てよ!
警察はマズイって!
ちょっと話し合おうぜ?」
慌てふためくカナメ。
しかし、私の決意は固かった。
コテツが睨みを利かせる横で、
私は警察に通報した。