カナメの自室には
彼がコレクションしていた
プラモデルや鉄道模型等が
持ち込まれていた。
もう少し時間が取れたら、
まとめて実家に送ろうと
思っていた矢先のことだった。
私はカナメから合鍵を
取り返す機会を
設けなかったことを思い出し、
しくじったなぁと後悔した。
心臓の鼓動が早くなる。
もしや…。
深呼吸をして、ゆっくりと
ドアノブに手をかけた。
案の定、カナメの元自室を
開けると、奴はそこにいた。
薄暗い月明かりの中、カナメの
姿がはっきりと見えた。
彼は部屋の隅で、何かを袋に
詰め込んでいる最中だった。
念のため、聞いてみる。
キクノ
「こんな時間に、
なんでここにいるわけ?」
声が震えているのを必死に
抑えながら、私は言った。
カナメは驚いたように
振り向いた。
その目には
恐怖の色が浮かんでいる。
彼の視線は私ではなく、
私の隣に立つコテツに
釘付けになっていた。
一応、コテツがカナメに
襲い掛からないように、
首輪をガッチリと
ホールドしておいた。
コテツは低く唸り続けている。