義母
「噛まれたって言っても、
腕で、病院で
治療してるんでしょ？
コテツちゃんは狂犬病の注射も
ちゃんとしてるし。
なら、
心配ないんじゃないかしら。
それにもとはと言えば
キクノちゃんに暴力を
振るった女から守るためだし、
そんな女を浮気相手に
選んで連れ込んだ息子が
悪いじゃないの。
コテツちゃんに非はないわよ。
気にしないで。
寧ろ息子が申し訳なかったわ」
と、義母は
こちらが申し訳ないくらいに
謝ってくれた。
それどころか、
義母
「コテツちゃんって、
躾が行き届いた
お利口さんでしょ。
そんな子が噛むくらいだもの。
一大事だったのよ」
と言って、
コテツを気遣ってくれた。
義母の優しい言葉に、
私は少し気持ちが軽くなった。
翌日は咬傷届を出すのに必要な
書類を揃えたり、コテツを
動物病院に連れて行ったりで
てんやわんやだった。
だから、カナメからのLINEに
気づくのに遅れてしまった。
カナメ
「お前とはもう別れる。
飼い犬に襲わせるとか、お前、
アタオカだろ？
しかも俺の親にサッサと
根回しするとか、
汚い手を使いやがって。
俺の母親まで手なづけて、
〇処分を
回避するつもりだろ！？
お前が犬を庇うのは
わかり切ってたけど、
そのせいでお前は
結婚できなくなるんだからな！
後悔してももう遅いぞ！」
とまあ、山のような
LINEメッセージを
要約するとこんな感じだ。
