諦めかけた時、
突如として廊下から
猛烈な勢いで黒い影が
飛び込んできた。
コテツだ!
一瞬の出来事に、
部屋の中が混乱に包まれた。
コテツは稲妻のような速さで
部屋を駆け抜け、
躊躇することなく
ウイナの腕に食らいついた。
ウイナ
「ああああああああ!
痛い、痛い!」
悲鳴とともに、
ウイナの手が
私の襟首から離れ
私は床に崩れ落ちた。
コテツは唸り声を上げながら、
ウイナの腕に
しっかりと噛みついている。
ウイナは腕を振り回して
振り払おうとするが、
コテツの牙はびくともしない。
ウイナ
「この化け物!離せ!」
パニックに陥ったウイナは、
空いている方の手で
コテツを叩こうとする。
しかし、コテツは身をかわし、
さらに深く噛みついた。
カナメ
「おい!何してんだ!!
このクソ犬!」
ようやく重い腰を上げた
カナメが、コテツに向かって
駆け寄ってきた。
ここまで来ると
さすがのカナメも高みの見物と
はいかず、走り寄って
コテツに拳を
振り下ろそうとした。
しかし、
コテツの動きの方が早かった。
コテツは
ウイナから口を離すと、
サッと身を翻した。
そして、今度は
カナメの腕に歯を立てた。
カナメ
「ぎゃあああああああ!
腕がぁ、腕がぁぁぁ!!」
カナメの悲鳴が
部屋中に響き渡る。