ウイナ
「ちょっと~w
アテにならないじゃん。
この女が帰って来たら
あの犬っころが
大人しくなるって
自信満々に言ってたの、
誰よ~w」
女性―ウイナと呼ばれた
彼女は、私を完全に無視して、
カナメに向かって
甘えるような声を出す。
その態度に、
私は言葉を失った。
カナメ
「おっかしいな~?w
キクノがいない時に俺が家に
入ると吠えまくるんだよ。
で、キクノが帰ってくると
大人しくなるんだよ、大抵。
あ~、でも、前も女を
連れ込んだ時も
ずっと吠えてたなw」
カナメの言葉に、
私の頭の中で何かが切れた。
「前も」という言葉が、
まるで鈍器で
殴られたかのように響く。
ウイナ
「え~?ウッソww
犬が吠えてるそばで、
やることやってたの?www
ヤダァww」
ウイナの声には、驚きよりも
興奮が混じっている。
まるでゴシップ話を
聞くかのような軽薄さだ。
カナメ
「そんなわけないだろ?
今日みたいに追い出してたよw
さすがに犬に見られたままじゃ
萎えるってwww」
悪びれもせず、
信じがたいことを言い放つ
カナメがこれまでの彼と
同一人物とは思えなかった。
その態度に、
怒りと悲しみが込み上げてくる。
キクノ
「それって、
これまで何度も私以外の女性を
この家に連れ込んでたって
いうこと!?」
震える声で問いかける私。
答えは分かっていても、
確認せずにはいられなかった。