カナメという重荷を下ろし、
経済的にも精神的にも
自由を手に入れた気がした。
コテツを見つめながら、
私は笑顔で言った。
キクノ
「ねえ、コテツ。
私たち、新しい生活を
始められそうだよ」
コテツは嬉しそうに
尻尾を振り、私の手を
ペロペロと舐めた。
この瞬間、私は心から
幸せだと感じた。
なお、ウイナは
幼馴染の彼氏がいて結婚話も
出てたらしいんだけど、
浮気バレして破談に。
婚約破棄だから相手方から
慰謝料も
請求されて大変らしい。
ウイナからの救援要請を、
カナメは必死になって
振り払ってるんだってさ。
私はカナメやウイナに対して
法的措置を取ることは
考えなかった。
確かに、慰謝料を請求する
権利はあったかもしれない。
でも、そんな訴訟を起こせば、
この嫌な経験をいつまでも
引きずることになる。
それに、彼らとの関係を
完全に断ち切りたかった。
カナメの両親とは
良好な関係を保ちたいという
気持ちもあったし。
それに、コテツが
私を守ってくれたおかげで、
大きな被害を受けずに済んだ。
だから、前を向いて
新しい人生を歩み出すことの
方が大切だと思ったの。
復讐よりも自分の幸せを
選んだってことかな。
