祖母
「何という
恥さらしな真似を。
家訓を悪用するとは」
話によると、
義母の現代語訳とやらは、
本物の家訓とは
まるっきりかけ離れた
ものだったようだ。
印刷版が、あまりに
義母有利な内容だったと
知った義祖母は、
炎のように怒り狂った。
しかも、家訓と書かれた
巻物は、義母が
本家ご挨拶のどさくさに、
勝手に持ち出していた
とまで発覚した。
しきたりにうるさい本家が、
こんな序列をわきまえない
暴挙を許すはずはなく、
義母はさんざんに叱られ、
実家も呼び出されて
さらに叱られ、
義父にもこってり叱られた。
そのうえで、
離婚を言い渡された。
何せ、年甲斐もなく、
出会い系で若い男に
貢いでいたのがばれたから。