私は夫の少し後ろに
控えていて、
お婆様の目の前に
二人で正座した。
ううっ、緊張する。
義祖母
「キヌ子さん、
どうぞ楽に。
今日のところは
お客様です」
怖い、めっちゃ怖い。
今日のところは
っていうのが、
とんでもなく怖い。
緊張しているうちに
義祖母からお言葉を頂き、
次いで宴会になった。
ふすまが開いて、
和服の女性達がしずしずと
お膳を運んできた。
その中に、義母もいた。
味なんか
分からなかったわよ。
なるほどね
ご実家に難あり、か。
そりゃ、今時の
普通のサラリーマン家庭に
育った女性が、
好き好んで
嫁いでくる気に
なれるわけはない。
だって、一生を
時代劇の中で
暮らすようなものよ。
すっかり面食らった私を、
夫は気遣ってくれた。