
私のセリフは本心だ。
だから、心から微笑んで
伝えることができた。
娘も笑顔で頷いている。
あまりに予想外過ぎて、キラリは
それ以上何も言えなかった。
口を開けたり
閉めたりしている様子が、
餌を求める鯉みたいで
ちょっと面白かった。
というわけで、キラリの嫌味は
不発弾でしかなかった。
弁護士先生の元、
書類を取り交わし、
無事に手続きは終了した。
でもね、こういう場に遅刻して
偉そうにふんぞり返ってたこと。
それから、娘のカノンまで意図的に
傷つけようとしたことは、
到底許せなかった。
誠心誠意、謝ってくれたなら
私は次のカードを
切る気はなかったのにね。
実は興信所は浮気以外にも
重大なことを私に報告していた。
夫とキラリは、
会社のお金を横領していたと。
よくよく考えれば納得できる話だ。
出張や残業と称して夫とキラリは
遊びまわっていたにもかかわらず、
私たち一家の生活費は
きちんと確保されていた。
遊興費は
横領で賄っていたのだろう。