一度も怒った事のない私

結婚してから一度も怒った事のない私が爆発した日【3】

 

正直、娘の誕生は

嬉しいことだったが、

せっかく大学まで出て得た

資格を名ばかりにしておくのは

もったいないと思っていたからだ。

 

そうして私は自宅から

徒歩圏のドラッグストアに無事、

パート薬剤師として

勤務することになった。

 

薬局には私同様、

子持ちのパートさんが何人もいた。

 

だから、休憩時間の雑談も弾んで、

すごく居心地の良い職場だった。

 

仲良くなるうちに

家族の話題になるのは、

もはや必然。

 

ところが、私が夫の話をすると

同僚たちが表情を曇らせ、

顔を見合わせることが度々あった。

 

「?どうかした?」

 

同僚A

「ああ…っと、うん。

外で働きに行くのに

旦那さんの言葉ひとつで

決まるんだなって。

 

もしかして、亭主関白なの?」

 

同僚B

「亭主関白って言うよりも…。

他の話と合わせると、

トウ子さん、旦那さんから

モラハラを受けてない?大丈夫?」

 

この時のやりとりで

私は目の前の霧がさーっと

晴れたような気分になった。

 

夫の態度は当たり前だと

思っていたけれど、本音を言うと

小さな不満が溜まっていた。

 

だけど、上手く言語化できないし、

私がほんの少し我慢するだけで

家庭の平穏は守られると

思い込んでいた。