兄弟・姉妹

次期後継と豪語している弟夫婦、散々好き勝手していたら…【12話】

 

私は、夫ともども病院に

駆けつけたが、

時間の問題だと言われた。

医師によれば、血圧が

一定以下になったら、

手の施しようが

ないのだという。

泣いてばかりの母は、

何もできないでいる。

とにかく、サトルを

呼ばなきゃ…

私が夫を見たとき、

夫はスマホを握って

病院の外まで出て行こうと

走り出したところだった

私は、サトルやモエカの

電話番号を知らない。

夫が、せめて

どちらかでいいから、

連絡を取ってくれれば

いいのだけど。

時刻は、

午前七時五十分。

朝のこの時間帯なら、

連絡がつくはずだ。

父の最期に

間に合って欲しい。

あんな弟でも、

とりあえずは肉親だ。

私は気をもんだが、

夫は残念そうに戻ってきて、

首を横に振った。

 

「サトルくん…
 
いま手が離せないそうだよ。
 
お子さんの
 
発表会準備だって」

 

 

「あのバカ!!」
 

 

発表会は、

次の機会があるでしょうに。

お父さんの臨終に、

次があるとでも

思ってるの!?