実家は、ちょっと
保守寄りの思想で、
祖父も父も口をそろえて
「男の子は」「女の子は」
と言う。
身内意識が強い事もあって、
介護は他人の手を
借りないと言い張っていた。
仕方なく、母と私で
引き受けたのだった。
夫は父の会社に
新卒で入社した。
将来有望という話で、
私とのなれそめも、
半分は父の意向を
受けたようなものだ。
もっとも、父は単に
きっかけになっただけで、
私達は普通に恋愛し、
交際して婚約まで至った。
そのまま素直に
結婚させてくれなかった、
父というより祖父の、
はっきりいって
「わがまま」も、
夫は承知してくれた。
3年も待たせてしまった。
ちょっと不謹慎な話だけど、
祖父が他界して、
何とか結婚できた。
母は、父に
意見してはくれた。
母「キヌ子も30歳を
過ぎてしまって、
いくら相手が
決まっていると言っても、
待たせすぎじゃない?
モエカさんに
お願いしても……」
父
「親父が納得
するわけないだろう。
そう思うなら、
おまえが親父を説得しろ」
父は、にべもなかったと
聞いた。