私も父に頷き返し、
私
「リンタロウさん。
私と離婚してください。もう無理です」
と伝えた。
期待していたのとは
真逆の言葉だったのだろう。
夫の顔はみるみるうちに萎れていった。
夫
「わかり…ました」
そう言って、力が抜けた夫は
軽く会釈をして帰って行った。
その後、夫が実家を訪れることは
二度となかった。
離婚の手続きについても
会うことなく進められた。
そして父のおかげで無事に
離婚が成立することになった。
さすがは父。本当に助かった。
私と母だけでは、
もしかすると夫にいいように
翻弄されていたかもしれない。
夫との慰謝料と財産分与は
ナシで決着がついた。
蓄えのない人間だからね、
無い袖は振れないってヤツ。
でも、正社員で働いている私の方が
収入は多かったから、逆に
夫に持って行かれる可能性もあった。
だから離婚成立までは
実はドキドキしていたんだ。
何も払わない、貰わないで
カタがついて良かった。
もちろん娘の親権は私。
実家の近くに住んで
両親のサポートを得られる条件で
認められた。
義実家への離婚報告は父がしてくれた。
義両親は、
夫がそこまで甲斐性なしだとは
知らなかったみたいで、呆れていた。