モラハラ

我が子の夜泣きに夫が激怒 【14話】

 

怒りを隠しきれない父の声に

夫はたじろいだ。そして

 

 

「す、いませんでした…」

 

 

と小さな声で謝罪してうつむいた。

【すいません】ってなんだよ、

【すみません】だろ。

そして謝罪は

【すみません】じゃなくて

【申し訳ありません】だろ。

社会人なら常識だろ、と

私は心の中で突っ込んでいた。

思考が取っ散らかった私をよそに、

父は更に続けた。

 

 

「親の責任、という言葉を
 
先ほど私たちに向けたね?
 
ならば君は、自分の娘に
 
父親だと胸を張れるような
 
責任感ある行動をしてきたのか?

娘の夫として娘を幸せにするという、
 
結婚前に私たちとした約束は
 
果たしているのか?
 
君の言う責任とは何だ?」

 

 

夫は顔面蒼白になりながら、

 

 

「はい、その…あの…
 
すいません…」

 

 

を繰り返していた。

こうなると父のお説教は長い。

私は別に夫に反省をしたり、

態度を改めて欲しいわけではない。

その時期はとうに過ぎている。

 

 

「お父さん、もうそろそろ
 
いいんじゃない?」

 

 

私が声を掛けると、父は頷き、

夫の顔色が明るくなった。

 

 

「キヌ子、リンタロウ君に
 
言いたいことがあるなら、
 
今この場でハッキリと伝えなさい」