怒りを隠しきれない父の声に
夫はたじろいだ。そして
夫
「す、いませんでした…」
と小さな声で謝罪してうつむいた。
【すいません】ってなんだよ、
【すみません】だろ。
そして謝罪は
【すみません】じゃなくて
【申し訳ありません】だろ。
社会人なら常識だろ、と
私は心の中で突っ込んでいた。
思考が取っ散らかった私をよそに、
父は更に続けた。
父
「親の責任、という言葉を
先ほど私たちに向けたね?
ならば君は、自分の娘に
父親だと胸を張れるような
責任感ある行動をしてきたのか?
娘の夫として娘を幸せにするという、
結婚前に私たちとした約束は
果たしているのか?
君の言う責任とは何だ?」
夫は顔面蒼白になりながら、
夫
「はい、その…あの…
すいません…」
を繰り返していた。
こうなると父のお説教は長い。
私は別に夫に反省をしたり、
態度を改めて欲しいわけではない。
その時期はとうに過ぎている。
私
「お父さん、もうそろそろ
いいんじゃない?」
私が声を掛けると、父は頷き、
夫の顔色が明るくなった。
父
「キヌ子、リンタロウ君に
言いたいことがあるなら、
今この場でハッキリと伝えなさい」