モラハラ

我が子の夜泣きに夫が激怒 【13話】

 

「真夜中に女性と乳飲み子を

放り出すなんて、それこそ
 
無責任極まりない話だろ!
 
おまけに甲斐性なしときた。
 
私たちはキヌ子を

君に返すことはない!」

 

 

「僕だって
 
やれるだけのことはしようと、
 
仕事に打ち込んでましたよ。
 
それに、本当に出ていくなんて
 
思わなかったんです!」

 

 

「帰って来るな、とも言ったわ!」

 

 

「売り言葉に買い言葉だと

思ったんだよ!

すぐに帰ってくると思っていたんだ!

それなのにキヌ子は意地を張って、
 
いつまでも、いつまでも…」

 

 

何とも苦しい言い訳を夫は続けていた。

父は夫の言い分が全く理解できずに、

未知の生物でも見るかのような

目をした後、首を横に振った。

 

 

「本当に出ていくと

思っていなかったのなら、
 
キヌ子が荷物をまとめていたところで

引き留めればよかっただけ。

でも君はそれすらしないで
 
寝たというじゃないか。
 
そんな人を信用できるとでも?」

 

 

父の重たい声に、

夫は真一文字に口をつぐんだ。

 

 

「夜中に放り出された
 
娘と孫を助けて何が悪い。
 
どこが甘やかしだ!?
 
文句があるなら、ホラ、
 
この場で全部言ってみろ」