私
「わかった」
とだけ答え、
最低限の荷物をまとめ、
スミレを連れてタクシーで実家に帰った。
深夜1時前に突然、
子供を抱いて帰って来た娘に
両親は驚いていた。
そして、私が包み隠さず
夫とのやり取りを伝えると、
呆れ返っていた。
父
「まあ、里帰り出産をしたら
リンタロウ君の本性に気づくのが
遅れていたのかもしれないな。
塞翁が馬とはよく言ったものだ」
母
「自分の家なんだから
ゆっくりしていいのよ。
娘なんだから、
困ったときは親を頼りなさい」
と両親は言ってくれた。
私は全力で両親の言葉に
甘えさせてもらった。
そうして3日もしないうちに、
夫から電話が来るようになった。
夫
「キヌ子!
どうして帰ってこないんだよ!
今どこだよ!?」
と、かなり焦っているようだ。
私
「なんで?
帰る必要なんてある?
【出ていけ、帰って来るな】
って言ったのどこの誰だっけ?
私はその通りにしてるだけだよ」
と、すっとぼける私。
夫
「え、ちょっと…それは困るよ!」
私
「そう?私、困らないよ?」
通話をぶった切った。
夫がすぐに泣きついてくるのは
最初からわかっていた。