モラハラ

我が子の夜泣きに夫が激怒 【5話】

 

 

「わかった」

 

 

とだけ答え、

最低限の荷物をまとめ、

スミレを連れてタクシーで実家に帰った。

深夜1時前に突然、

子供を抱いて帰って来た娘に

両親は驚いていた。

そして、私が包み隠さず

夫とのやり取りを伝えると、

呆れ返っていた。

 

 

「まあ、里帰り出産をしたら
 
リンタロウ君の本性に気づくのが
 
遅れていたのかもしれないな。
 
塞翁が馬とはよく言ったものだ」

 

 

「自分の家なんだから
 
ゆっくりしていいのよ。
 
娘なんだから、
 
困ったときは親を頼りなさい」

 

 

と両親は言ってくれた。

私は全力で両親の言葉に

甘えさせてもらった。

そうして3日もしないうちに、

夫から電話が来るようになった。

 

 

「キヌ子!
 
どうして帰ってこないんだよ!
 
今どこだよ!?」

 

 

と、かなり焦っているようだ。

 

 

「なんで?
 
帰る必要なんてある?
 
【出ていけ、帰って来るな】
 
って言ったのどこの誰だっけ?
 
私はその通りにしてるだけだよ」

 

 

と、すっとぼける私。

 

 

「え、ちょっと…それは困るよ!」

 

 

 

「そう?私、困らないよ?」

 

 

通話をぶった切った。

夫がすぐに泣きついてくるのは

最初からわかっていた。