マサキ
「お母さん、
背中を流してくれるの
上手だよね。
俺一人じゃ、
うまく洗えなくて」
義母
「トウ子さんは
やってくれないの?
ほんとに、
出来が悪い嫁だねえ」
こんな会話が浴室から
聞こえた時。
もうだめだ…
夫婦でいられる
自信がない。
私はつくづく思った。
ただ、この瞬間は
大チャンスでもあった。
義母はマサキの世話に
夢中になっていて、
サキトから離れたのだ。
この好機は見逃せない。
私は爆速で、
貴重品と生活に
必要なものをまとめ、
バッグに詰めた。
幸い義母と夫は、
べたべたしまくり。
長風呂だ。
二人が浴室から
出て来た時、
私も家を出る準備が
調っていた。
マサキ
「え?トウ子?
出かけるの?仕事?」
義母
「あんた!!
いま何時だと思ってるの。
女がこんな時間に」
トウ子
「いや?
離婚しますので」
するっと、
言葉が出て来た。
義母も夫も、
きょとんとした。