トウ子
「マサキ…
引っ越ししよう。
もうここにはいられない」
マサキ
「え?
まぁ、いいけど?」
マサキは、理由がよく
分からないという顔を
したけれど、
反対もしなかった。
ちょうどこの頃、
ある筋から持ち家に
住まないかという話が、
持ち掛けられていた。
私はありがたく
その話を受けて、
とっとと引っ越しをした。
そしてすぐにサキトを
授かった。
やっと人並な生活が
出来る。
そう思った矢先に
マサキ
「お母さんと
暮らすから」
ひっくり返りそうな事を
言われた。
というか、食事中に
宣言されて、味噌汁の
お椀を
ひっくり返してしまった。
トウ子
「はぁ!?
なんでまた同居するの?
お義母さんは
逃げたんだよ?」
マサキ
「違う。誤解!!
伯母さんが倒れたから、
人手が必要だって
言われて、そっちに
行っただけだったんだ!」
トウ子
「嘘だよ!
そんなの…絶対!」
マサキ
「本当だって。
お母さんが
そう言ってたんだから、
間違いない」
マサキは頑固に
言い張った。
よくそんな話を
信じる気になったな。
この時、サキトは
生後5ヶ月、私は育休を
取っている真っ最中。
しかし夫の給料が
頼りない…
早めの仕事復帰も
考えていた。