私の勤務先は
夫の勤務先の取引相手
ということもあって、
夫も一旦は引いてくれた。
事態が急変したのは学会が終了後、
くたくたになって自宅に戻った時だ。
玄関を開けると、
見覚えのある靴と山積みのダンボールが
私をお出迎えした。
【やられた!】と直感した。
ピンときた通り、
靴と荷物は義母のものだった。
リビングに入っていくと、
義母が申し訳なさそうに
縮こまって座っていた。
義母「キヌ子さん、
ごめんなさいね…」
と、蚊の鳴くような声で
義母は手紙を差し出してきた。
義父から私宛のものだった。
曰く、
学会の発表後はつきっきりで
義母の面倒を見られる、
と夫が言っていた、と。
曰く、
義父と義姉は義母の介護で
心身が疲弊しきったので、
旅行に出てリフレッシュする、と。
曰く、
義母の介護はその方面に詳しい
私に一任する、と。
手紙を読む手が怒りで震えた。
脳味噌が沸騰するかと思った。
あまりに身勝手すぎるし、
振り回される私や義母のことは
一切考慮にない!
義父と義姉はもちろん、
手引きをした夫にも
腹が立って仕方なかった。