義母は、病院で入院している
我儘な患者さんと比較せずとも
穏やかで接しやすい人だ。
高い場所の物を取る
という、ちょっとしたことでも
義母「キヌ子さん、ありがとうね」
とお礼を言ってくれるような
優しい人だ。
そもそも、義母の動きは
若い人や健康な人と比べて
ゆっくりとしているだけで
身の回りのことなら
時間がかかるものの、
大抵のことは自分でできる。
入浴やお手洗いだって、
自分でこなしていた。
だから、私はいわゆる
「介護」ではなく、
万が一の時に備えて
見守ることにしていた。
これくらいのことなら
義実家のメンバーでもできる、
と思って説明しようとしても
あの人たちは受け付けない。
義父
「キヌ子さんは看護師なんだから
慣れているだけじゃないか。
素人の俺たちじゃ、何かあったら困る」
夫にしても
夫
「キヌ子が介護を担当してくれたほうが
父さん達も助かるし、
姉さんだって婚活に精を出せる。
お前が仕事を辞めて、
母さんの面倒を見てくれると
正直、全てが上手くいくんだよな」
と、呆れた提案をしてきた。
なお、義姉は
40代後半の夫の姉で
50代に既に突入済みだ。
この時の私は
看護学会の発表が控えており、
毎日が多忙を極めていたので
義実家の提案をかわしていた。