モラハラ

余命半年と診断されたのは私だと勘違いした夫の末路【13】

 

「それは遺言かしら。

何とも冴えないわね」

 

 

「遺言?なんで俺が?遺言を

書くのは お・ま・え!だろ。

まさか変な事でも

書いてないよな?

国庫納付なんか許さないからな」

 

 

「遺言を書くべきなのは

あなたでしょう。

余命宣告から、もう半年

経つじゃない。

身辺整理は済んだ?」

 

 

「何を寝ぼけているんだ?

身辺整理?

お前じゃなくて俺が、か?」

 

 

夫は目に見えて体調も

悪化している一方、

私はピンシャンしている。

それなのに夫は自分の体の状況に

気づきもしない。

切り出すときが来たようだ。

 

「余命宣告は私のじゃない。

あなたのよ」

 

しかし、夫は私の最後の

悪あがきと受け取ったらしく

 

「わかったわかった。

せいぜい残された時間に

感謝して生きろよな」

 

 

と言い捨てて

自室に入ってしまった。

翌朝、寝室からリビングに

行くと夫がうずくまって

うめき声をあげていた。

さすがに見殺しには

できなかったので

救急車を呼び、すぐに義母にも

連絡を入れてともに搬送先の

病院へ向かった。

応急処置で安定し、余命宣告が

自分のものだとようやく

理解した夫は、人目も

場所も憚らず私を罵倒した。