モラハラ

余命半年と診断されたのは私だと勘違いした夫の末路【8】

 

話が通じない夫に肩を

落としていると夫は部屋を

移動し、

誰かに電話をかけ始めた。

 

「真鈴ちゃん?オレオレ。

聞いてくれよ~。うちの奴、

とうとう余命宣告だってさ。

半年もすれば保険金と

あいつの貯金が手に入るぞ~。

ババァも棺桶に

片足突っ込んだ年齢だし、

そっちの遺産ももうすぐ

手に入る。そうしたら晴れて

一緒になれるね~」

私はそっとドアに耳を

当てて聞き耳を立てる。

いい年こいたオッサンが

猫なで声で…。

もう、ため息しか出なかった。

ただ、お義母さんには

本当のことを

話しておこうと思った。

お義母さんにとっては、

たった一人の息子だから。

次の休みの日、

お義母さんに会って

掻い摘んで事情を説明した。

 

義母

「しかたないね。

アタシやトウ子さんが

何を言おうが

聞く耳を持たないだろう。

あの子の好きなように

させるしかないよ。

体調の変化に気づいて

自分から病院に行くなら

それでよし。そうでないなら、

もう、ね。

ああ、トウ子さんは

気に病まなくていいんだよ」

 

と、息子を

失うかもしれないのに、

私に寄り添ってくれた。

その後の夫の行動は

酷いものだった。