モラハラ

余命半年と診断されたのは私だと勘違いした夫の末路【5】

 

「ちょっと…!」

 

 

私は夫の背後に目を向けた。

 

 

「何よそ見して…」

 

 

と言いかけたところに

声が重なる。

 

 

義母

「アンタ!母親に向かって

なんてぇ言い種だい!

お前が私のことをどう思って

いるか、よくわかったよ!!

ごめんよ、トウ子さん。お土産を

渡しそびれていたことに気が付いて、

戻ってきたところだったんだよ。

そうしたらこのバカ息子が…」

 

「いいえ。

こちらこそ、見苦しい所を…」

 

とお互いに

ペコペコしている間に、

夫は自室に引っ込んでしまった。

 

義母

「トウ子さん、

薄々感じていたんだけれども、

最近はずっとこうなのかい?」

 

 

「ええ。お恥ずかしい…」

 

 

義母

「アタシこそ、こんな息子に

育ててしまって、なんと詫びたら

良いのやら…」

 

義母も亡くなった義父も、

優しい人格者だ。

どうしてその一人息子である夫が

あんな性格なのか、本当に謎。

 

 

義母

「幸い、あなたは仕事も

していて経済的にも自立してる。

もしうちの息子に見切りを

つけたら、遠慮なく

別れていいんだからね。

行く宛てがないなら、

ウチで一緒に暮してくれたって

いいんだ。トウ子さんはもう、

私の娘なんだから」

 

 

世間では嫁姑問題で揉めることも

多いけれど、うちは夫婦仲の方が

より深刻な問題だった。