当時の夫は優しく紳士的で、
私の仕事にも
理解を示してくれた。
お互いの年齢のこともあり、
子供については自然に任せて
授かったのなら育てる
授からない場合には
不妊治療まですることはない、
という結論を出していた。
そしてやはり子供を
授かることはなかった。
幸せな結婚生活は早々に
終わりを告げた。
結婚前は思いやりがあるように
見えた夫も、しばらくすると
化けの皮が剥がれ始めてきた。
実は夫の頭の中は昭和どころか
明治・大正時代の化石のような
中身だったのだ。
私
「ごめん。今日は帰りが
遅くなりそうだから、冷凍庫の
作り置きをあっためて食べて」
夫
「ふざけるな!
誰のおかげでお前が好きな
仕事ができてると思うんだ?
旦那の世話も碌にできずに、
仕事にかまけてれば
イイってか?
俺に迷惑をかけるなよ」
掃除にしろ洗濯にしろ、
少しでも手伝いをお願いすると
夫
「俺が許可してるから、
お前なんかが仕事に出られる。
感謝しろ。家事の手を抜くくらい
なら仕事なんてやめちまえ!」
というセリフが飛んでくる。
最初のうちは反論もしたけど、
夫は絶対に折れない。
女房に仕事をさせる男は
【甲斐性なし】
と、昭和までの価値観を
令和の時代になっても
引きずっているのだ。
そのうち私は夫に家事を
頼むことはしなくなった。