義父が、
義父
「いい加減にしろ!
ユキト、キヌ子さんを連れて
早くここから逃げるんだ!」
と、義母を押さえている。
ここは俺に任せて先に行け的な
ヒーローに見えた。
夫
「親父、わかった!健闘を祈る!」
いつの間にか、あれだけ夫を
バシバシしていた義父と夫は
共闘関係になっていた。
帰りの車の中で私たちは
ひとしきり笑い、家に着いた。
家に着いたと思ったら、
夫が車のトランクから
小さなギフトバッグを取り出した。
夫
「はい、これ。
受け取ってくれるかな」
私
「ありがとう。
あ…もしかしてこれって」
袋を開けてみると、
モフモフのブランケットと靴下、
それにシルク混の腹巻が入っていた。
ご丁寧に、もこもこ靴下には
私の名前が刺繍されている。
間違いなく、私のために
選ばれたプレゼントだった。
浮気相手と会っているかも…
と思っていた時間は、夫が
私のためのプレゼントを
吟味してくれていたのだった。
夫に対する深い愛情。
そして、どこまでも
私を愛してくれる夫に
我が子を抱かせてあげられない
不甲斐なさ。
私はこれまでとは別の涙が
目から溢れてくるのを感じた。