ここまで勘違いとすれ違いで
大事になってしまったので、
私は【妊娠なんてしていない】
と夫に告げた。
夫の顔は驚きと困惑でいっぱい、
と描いてあった。
夫の表情を見れば、
この時まで夫は
私の妊娠を信じ込んでいた
というのが良く分かった。
自分の浮気をごまかすために
突拍子もない話を
でっち上げたわけではない。
そう確信も持てた。
だから、私も
【例のLINEを浮気相手に
充てたものだと勘違いした】
と白状した。
めっちゃ恥ずかしかった。
お互いに
【ごめん】【ごめんね】を
繰り返すことに。
義父はふぅ~とため息をついて
安心して、すっかり冷めた
お茶を啜っていた。
問題なのは義母だった。
義母
「そ、それじゃあ、赤ちゃんは?
私の孫は、一体どこに!?」
母親が私だろうが
浮気相手(架空)だろうが、
孫がいればオールオッケーの義母。
その姿勢を崩さないことに
夫がまたキレた。
夫
「この状況でまだ孫!孫!
もう決めた。
俺たちに子供が生まれても
絶対にクソババアにだけは
会わせないからな。
キヌ子、帰ろう!」
そう言って私の腕を引っ張って
車に連れて行く夫。背後では
義母
「そんな我儘許しません!
あなた達の子供は私のものよ!」
と、義母が絶叫していた。