出張から帰って来た夫は、
どこかよそよそしかった。
きっとLINEの誤爆には
気づいているんだろうけど、
夫からはそのことについては
何も言ってこなかった。
その代わりに
夫
「あ、テーブルに運ぶのは
俺がやるから、
キヌ子はもう座ってて」
と言って、
配膳を率先して行ってくれた。
食後も
夫
「洗い物は俺がやるから。
キヌ子はゆっくり
お風呂に入っておいでよ」
いつも以上に手伝ってくれる。
ははーん。
これは浮気がバレたので
私のご機嫌を取る作戦なんだろうな…。
私は非常に冷めた気分になった。
私
「いい…。私、具合が
良くないみたいだからもう寝るね」
もう何も考えたくなくて、私は
寝室に引っ込むことにした。
けれど、夫は慌てて
布団の用意をしたり…
と、こっちでも何かと手を出してくる。
いつもだったら
【優しいなぁ】とか
【惚れ直したなぁ】
ってなるはずなんだけど、
ゴマすりにしか見えなくて
頭痛までしてきた。
結局その日はそのまま眠ってしまった。
翌朝、やはり頭は痛いまま。
朝食の支度を終えて
夫が起きるまで
すこしぼんやりしていると
誤爆LINEのことが脳裏に浮かんできて
スーッと涙が出てきた。
タイミングが悪いことに丁度
夫が起きてきたところで、
夫に目撃されてしまった。