その日も夫は私を連れて
義実家に行こうとしていた。
夫
「出るぞ」
私
「イヤだ」
今まで愚痴なら何
度か行ったこともある。
けれど、出発間際になって
直接拒否したことに
夫は心底驚いた顔をした。
それもすぐに怒りで
真っ赤に染まったのだけれど。
夫
「キヌ子…!
自分が言ってること、
わかってんのか?お前に
拒否権なんてないんだよ!
うちの両親の面倒が
見れないんじゃ、お前の
価値なんてゼロだ!ゼロ!」
私に掴みかかろうとする夫を、
よく咄嗟に
避けられたと今でも思う。
私
「価値ゼロで結構。
そんな無価値な嫁ですから、
離婚しましょう」
私の本心だった。
耳の奥で心臓がすごい音を
立てているのが
聞こえるようだ。
緊張したけれど、
私はまっすぐに夫の目を見て
逸らさなかった。
これが生意気に
映ったのかもしれない。
夫は憤懣やるかたないと
言った風に怒りを爆発させ、
いつものように私が
無職の専業主婦だと
馬鹿にして来た。