モラハラ

離婚を切り出すと馬鹿にしてくる夫【8】

 

その日も夫は私を連れて

義実家に行こうとしていた。

 

「出るぞ」

 

「イヤだ」

 

今まで愚痴なら何

度か行ったこともある。

けれど、出発間際になって

直接拒否したことに

夫は心底驚いた顔をした。

 

それもすぐに怒りで

真っ赤に染まったのだけれど。

 

「キヌ子…!

自分が言ってること、

わかってんのか?お前に

拒否権なんてないんだよ!

 

うちの両親の面倒が

見れないんじゃ、お前の

価値なんてゼロだ!ゼロ!」

 

私に掴みかかろうとする夫を、

よく咄嗟に

避けられたと今でも思う。

 

「価値ゼロで結構。

そんな無価値な嫁ですから、

離婚しましょう」

 

私の本心だった。

耳の奥で心臓がすごい音を

立てているのが

聞こえるようだ。

 

緊張したけれど、

私はまっすぐに夫の目を見て

逸らさなかった。

これが生意気に

映ったのかもしれない。

 

夫は憤懣やるかたないと

言った風に怒りを爆発させ、

いつものように私が

無職の専業主婦だと

馬鹿にして来た。