浮気

イチャつく2人を風呂に閉じ込め親族たちを召喚させた結果【10】

 

ココナ

「ざっけんな!

私だってキヌ子さんの

旦那じゃなかったら、

アンタなんて願い下げよ!」

 

「お前!どういうことだ、

俺は当て馬か何かか!?」

 

ココナ

「キヌ子さんばっかり、

みんなチヤホヤして!

 

私だってデザインやりたくて

入社したのに、

雑用ばっかり!ずるい!!」

 

夫とココナのやりとりで、

何となく浮気の理由が

見えてきた。

 

全然正当性はないけれど。

 

けれど、仕事の話に

移ったことで

夫の目はずる賢く光った。

 

「ふん!離婚ね!

そういえば、離婚して

キヌ子は仕事、どーすんだ?

 

うちの会社を辞めたとして

30過ぎの女を

建築デザイナーとして

雇ってくれる所が、この辺りの

どこにあるってんだ!?」

 

私は唇を噛んだ。

私が実績を積めたのは、

義実家が経営する工務店に

勤めていたところが大きい。

 

地元では有力企業なのだ。

 

私が会社を辞めるとしたら

引っ越しが必要になるし、

畑違いの職場で1から

やり直すしか…。

 

思わず

涙が零れ落ちてしまった。

 

「私は…このままこの会社で

仕事を続けたいです…」

 

悔しい。

 

ずっと信頼されていた夫に

裏切られたのに、

せっかく見つけた天職も

手放さなきゃいけないなんて。

 

「今回のお客様の担当だけは

最後までさせてください。

私をご指名くださったんです。

信頼を裏切られた気持ちは、

今の私は誰よりも

深く理解しています。

 

だからこそ、私は今回の

お客様の期待と信頼を

裏切ることなく、

応えなくてはいけません」