タツヒロ
「ふざけるのも
大概にしろ!
俺はお前も、腹の子も含めて
家族を大事にしたかったんだ!
そのためには稼ぎが大事。
だけど金にばかりに
執着して家族を蔑ろにしたら
本末転倒だ!
そういう信念を持っていたんだぞ!
それを、お前は…!」
タツヒロ
「寂しい、
傍にいてほしい。
だったらそれを伝えてくれよ!
家族だろう!?」
最後の方はタツヒロさんも
叫ぶような口調だった。
魂の叫びだった。
ユリカはハッと息を飲んだ。
ユリカ
「わかった、わかったわ。
ね、落ち着いて。
家でとことん話し合いましょう?
今からでも遅くないでしょ?
やり直しましょ?ね?」
と、なんとかタツヒロさんを
引き留めようとしていた。
けれどタツヒロさんは、
タツヒロ
「今更過ぎる。
俺の離婚の意思は覆らない。
その子に父親が必要だとしたら、
それは俺じゃない。
本当の父親と一緒に育てるんだな」
と言い捨てて、義実家を後にした。