夫の姿を確認した時は
呆然自失状態だった。
夫が「ユリカ」と呼んでいた
浮気相手の女性の左手の薬指に、
シンプルな指輪が嵌っているのを
見た時に私の怒りは頂点に達した。
私の時は地味婚にしよう、
指輪は気になっちゃうから
ナシにしようって
提案してきたくせに、
浮気相手のその女には贈るのか！
ってね。
私は夫とユリカの後をつけた。
つけようとした。
…無理だった。
病院の駐車場で夫の車
を発見したまでは
良かったのだけれど、
その後2人が仲良く乗り込んで
出ていく姿を見て、涙がとめどなく
流れてきたからだ。
自分の車で尾行しようとしたけど、
視界が滲んでとてもじゃないけど
運転なんて無理。
そのまま車中で感情に任せて
泣いて泣いて泣きまくって、
尾行は諦めて家に帰った。
家に帰っても何もする気が
起きなくてぼやッとしていた。
ぼんやりと、夫が帰って来たら
どんな顔をして接すればいいのか、
これからどうしたらいいのか、
など、様々な考えが
頭の中をぐるぐるしていた。
そうこうしているうちに、
時間だけが過ぎていき、
やがて夫が帰宅。
夫
「いや～、連日残業だと
疲れるね～。あー、腹減った」
夫はいつもと変わらない。
