モラハラ

働けないと同情を誘い娘から金をせびる夫【11】

 

夫は無言。

 

これ以上シンプルな

問いはないのに、答えられない。

それこそが夫の行動の答えだ。

 

アオイは非常に険しい表情で、

夫を睨んでいた。

当然だと思う。

 

信頼していた父親が、

我が子から金銭を

騙し取るだなんて、

誰が考えるだろうか。

夫はしきりに喉元をさすりだした。

 

これは夫が嘘をついたり、

隠し事をしているときに

誤魔化そうとしているサインだ。

25年以上にもなる結婚生活で、

私は夫の癖くらい把握している。

 

アオイ

「最初は

3万円から始まって、

ついこの前は10万円だったよね!

 

病院に行っているって言うから

心配して援助したのに、

嘘をついていたなんてひどい!」

 

「な、嘘なんか…」

 

そう言ってまた喉元をさすりだす。

 

「あなたが

通っているって言っていた

隣町のクリニックなんだけど、

だいぶ前に閉業してるの…

 

息子さんがいたんだけど、

専門がお父様とは違うんですって。

だから今は息子さんが院長を

務める皮膚科になってるわ」

 

「え!?そんな…」